臨床試験情報

臨床試験ID : UMIN000029515
情報提供元 : 大学病院医療情報ネットワーク研究センター
試験名 : 婦人科遺伝性腫瘍に対するリスク低減手術の実施
試験の概要 : がんの一部はがん関連遺伝子の生殖細胞系列変異が原因で発症する。このような遺伝性腫瘍 関連遺伝子の生殖細胞系列変異を有する遺伝子変異保持者(mutant carrier)に対しては、が ん死低減を最終目標として、がん予防策を講じる必要がある。遺伝性乳癌卵巣癌症候群 (hereditary breast and ovarian cancer: HBOC)やLynch症候群など、一部の遺伝性腫瘍の未発 症遺伝子変異保持者(unaffected mutant carrier)に対しては、リスク低減手術を施行するこ とが最もがん死低減効果が高いことから、各種ガイドラインで「推奨」とされている。特にHBOC の原因遺伝子であるBRCA1または BRCA2 (BRCA1/2)遺伝子の卵巣癌未発症遺伝子変異保持者に 対しては、現時点ではリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy: RRSO)が最もがん死低減効果が高いがん予防法であることから、本邦の実地臨床においても導入 が進んでいる。 慶應義塾大学病院臨床遺伝学センターおよび慶應義塾大学医学部産婦人科では平成20年に倫 理委員会の承認を得て(受付番号 19-90号「BRCA1およびBRCA2遺伝子変異陽性遺伝性乳がん卵 巣がん例に対する予防的卵巣卵管切除術の実施について」)、本邦では初となるRRSOを行っ た。その後BRCA1/2遺伝子変異保持者に対するRRSOは各種ガイドラインでも「推奨」とされ、本 邦の実地臨床にも導入され、「医療計画」として実施しており(承認番号20120347:BRCA1およ びBRCA2遺伝子変異陽性遺伝性乳がん卵巣がん例に対するリスク低減卵巣卵管摘出術の実施につ いて )、現在までに8例実施している。 さらに近年はBRCA1/2以外のがん関連遺伝子の生殖細胞系列変異を有する未発症変異保持者に 対してもリスク低減手術を行うことが各種ガイドラインやstatementで提唱されている。例えば 米国NCCNガイドラインではBRCA1/2遺伝子保持者のみならず、MLH1,MSH2,MSH6,PMS2,BRIP1, RAD51C,RAD51D変異例において「RRSOを推奨/考慮する」としている(NCCNガイドライン2016:添 付資料 NCCNガイドライン2016日本語版.pdf )。 本申請はBRCA1/2遺伝子変異保持者を対象とした「医療計画」である承認番号20120347を「介 入試験」として申請するとともに、婦人科癌関連遺伝子の未発症変異保持者を対象にリスク低 減手術を行い、高リスク群におけるがん予防策を講じることを目指すものである。

基本情報       患者さん一人一人の状況に応じた判断が必要ですので、詳しくは診療を担当している医師にご相談ください

対象疾患名 がん関連遺伝子の未発症病的バリアント保持者
試験のホームページURL

実施施設&進捗状況

試験実施施設
試験のフェーズ 該当せず
試験進捗状況 一般募集中
公開日・最終情報更新日 2022/10/17

試験に参加できる条件

年齢・性別 20歳 ~ 女
選択基準 (1) BRCA1,BRCA2,MLH1,MSH2,MSH6,PMS2,BRIP1,RAD51C,RAD51Dなどの遺伝子変異保持者で婦人科 癌未発症の例のうち、適切な遺伝カウンセリングを受け、その理解が良好で、リスク低減手術 を希望する者。原則としてAmerican College of Medical Genetics and Genomics(ACMG)ガイ ドライン(2015)などを参照に、病的変異(Pathogenic)と判定された例のみを対象とするが、意 義不明のバリアント(variant of uncertain significance:VUS)と判定された例がリスク低 減手術を希望した場合は、改めて専門家による会議を開き、その結果臨床的に病的な意義があ ると判定した場合は、改めて倫理委員会に報告して、許可を得た場合にリスク低減手術の対象 とする。 (2) 適切な遺伝カウンセリング*を受けた者。なお遺伝カウンセリングは別の施設でもよい。 *日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月)を参 照。 (3) 同意取得時の年齢が20歳以上で、今後の妊娠希望がない者。 7 (4) 文書による同意が本人より得られている者。 除外基準: 研究責任者が本研究の対象として不適当と判断した者。
除外基準 なし

問い合わせ先

実施責任組織
問い合わせ先組織名 慶應義塾大学医学部
部署名・担当者名 産婦人科学教室 小林
電話・Email 03-3353-1211 kobax@a2.keio.jp

評価&介入

試験の種類 該当無し
介入の目的 予防・検診・検査
介入の詳細 リスク低減手術
主要な評価項目・方法 リスク低減手術後の婦人科癌の発生 当該発生率を算出するために当該発生までの期間をデータ収集する。この当該発生までの期間は、登録日を起 算日として卵巣癌、卵管癌、腹膜癌の発生日までの期間と定義する。
副次的な評価項目・方法 1. リスク低減手術施行例における病理組織学的評価によるオカルト癌陽性 オカルト癌は、RRSO 前に癌を疑わせる所見や検査結果がなく、RRSO 後の病理検査で発見されたもの(serous tubal intraepithelial carcinoma:STICを含む)とし、卵巣、卵管のみならず子宮で発見されたものも含む。 2. 術後の婦人科癌の発生 当該発生率を算出するために当該発生までの期間をデータ収集する。この当該発生までの期間は、登録日を起 算日として卵巣癌、卵管癌、腹膜癌の発生日までの期間と定義する。 3. あらゆる原因による死亡 死亡率を算出するために死亡までの期間をデータ収集する。死亡までの期間は、登録日を起算日としてあらゆ る原因による死亡までの期間とする。 4. 婦人科癌による死亡 2.の「あらゆる原因による死亡」と同様。 5. 術後女性 QOL の評価 更年期症状とその治療など 6. 手術の評価 術式、出血量、手術時間、合併症など 7. 医療経済評価 診療に要する医療費

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