臨床試験ID | : | UMIN000018261 |
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情報提供元 | : | 大学病院医療情報ネットワーク研究センター | |
試験名 | : | テモゾロミド療法後の再発あるいは腫瘍増悪悪性神経膠腫に対する「ベバシズマブ+ニムスチン(ACNU)併用療法」 | |
試験の概要 | : | 現在、最も悪性な原発性脳腫瘍である膠芽腫をはじめとする初発悪性神経膠腫の標準的治療は、欧米での第III相臨床試験の結果の後、手術後のテモゾロミド(temozolomide, TMZ)併用放射線療法(RT)とその後の維持TMZ単独療法である。しかし、膠芽腫においては標準治療によっても、生存期間(OS)中央値(mOS)は未だ15ヶ月に満たず、再発は必至である。標準治療(手術+RT+TMZ)にて再発した膠芽腫に対しては、様々な治療が試みられているが、十分な効果が検証された治療は確立しておらず、最も悪性である膠芽腫の再発に対する治療開発は急務である。ベバシズマブ(Bevacizumab, BEV)が本邦でも2013年6月に承認されたことから、現在再発において広くBEV単独療法が使用されている。 しかし、BEV療法によっても再発膠芽腫のOS延長は限定的であり、その理由として、①BEV治療後の再発後、有効な治療法がないこと、②再発時治療で、他癌腫と異なり他剤との併用療法の有効性が乏しいこと、などが挙げられている。2013年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、オランダから、BEV単独、BEV+ロムスチン、ロムスチン単独の3群を比較するBELEB試験(ランダム化第II相)が報告され、9ヶ月時OS(OS-9m)が各38%, 59%, 43%、6ヶ月時の無増悪再発割合(PFS-6m)は各18%, 41%, 11%とBEV+ロムスチン併用群で最も高い結果であった(Taal W et al. ASCO 2013)。この結果より、現在欧州ではロムスチン単独vs. BEV+ロムスチン併用の第III相試験(EORTC 26101)が実施されている。 以上より、再発時の標準的治療法と考えられるBEV単独療法を上回る治療効果が期待される併用療法は、BEV + ロムスチンが最も現時点でのpromisingなレジメンとみなされる。しかし、ロムスチンは本邦では未承認・非販売であり、実臨床で使用することはできない。ロムスチンはニトロソウレア剤のひとつであり、本邦ではニトロソウレア剤として本邦で開発されたACNU(nimustine, ニムスチン、ニドラン)が、1980年に承認以来ロムスチンの代わりに広く悪性神経膠腫治療に用いられている。従って、本邦で保険診療下で実施可能であり、現在世界的にも期待されているTMZ治療後の再発悪性神経膠腫に対する治療レジメンに同等の効果が期待しうる併用療法はBEV + ACNU療法と考えられ、その有効性と安全性を探索する目的で本試験を計画した。 |
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基本情報 患者さん一人一人の状況に応じた判断が必要ですので、詳しくは診療を担当している医師にご相談ください |
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対象疾患名 | 初期治療後の再発膠芽腫ならびに退形成性神経膠腫例 |
試験のホームページURL |
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実施施設&進捗状況 | |
試験実施施設 | 杏林大学医学部付属病院脳神経外科/Kyorin University Hospital 東京大学医学部附属病院/The University of Tokyo Hospital |
試験のフェーズ | 第Ⅱ相 |
試験進捗状況 | 試験終了 |
公開日・最終情報更新日 | 2024/03/13 |
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試験に参加できる条件 | |
年齢・性別 | 20歳 ~ 男女両方 |
選択基準 | 1) 年齢が満20歳以上。 2) 3ヶ月以上の生存が可能と判断されること。 3) 造影MRIあるいはCT検査により悪性神経膠腫の再発あるいは増悪が確認されている。(初回再発に限定しない) 4) 組織学的に膠芽腫、あるいは退形成性神経膠腫と証明されていること。 5) 前治療として、TMZの投与及び放射線治療を受けていること。 6) 治療開始前2週間以内の造影MRIあるいはCT検査において、直径0.5 cm以上測定可能評価病巣があること。再手術例では、測定可能病変の有無は問わない。 7) 造影検査実施時に、以下の治療終了から少なくとも以下の期間が経過している。 1) 手術:2週間(治療開始は手術後28日以上経過が必要) 2) ステロイド投与:投与量固定後5日間 8) 登録時、MRI検査にて急性期/亜急性期の脳出血が認められない患者。但し、ヘモジデリンの存在を認める、手術に伴う出血性変化が消失している、または腫瘍内の点状出血が認められるが、臨床的に無症状である場合は登録可とする。 9) 登録時のPerformance status (PS, WHO):0 - 2。但し、腫瘍に伴う神経症状によるPS 3は許容される。 10) 投与開始前2週間以内の主要臓器機能について、以下の条件を満たす。なお測定に当たっては検査日前2週間以内に輸血、造血因子製剤の投与は行わないこと。 ① 好中球数 ≧1,500/mm3 ② ヘモグロビン ≧8.0 g/dL ③ 血小板数 ≧100,000/mm3 ④ AST(GOT) ≦120 IU/L ⑤ ALT(GPT) ≦120 IU/L ⑥ 総ビリルビン ≦1.5 mg/dL ⑦ 血清Cr ≦1.5 mg/dL ⑧ PT, APTTが基準値以内であること。抗凝固療法中は(INRが1.5-2.5,あるいはaPTTがHeparin投与前の2-3倍) 2週間を超え安定していること。 ⑨尿タンパク+1以下あるいは1日尿タンパク量が1,000mg以下。 11) 患者本人あるいは家族から文書による同意が得られる。 12) 追跡可能な症例であること |
除外基準 | 1) 活動性の重複がんを有する。 2) 全身的治療を要する感染症を有する。 3) 登録時に38℃以上の発熱を有する。 4) 妊娠中、妊娠の可能性がある、産後28日以内、授乳中のいずれかに該当する女性。または試験期間中に避妊する意思のない女性。なお、最終月経から無月経状態が2年以上継続した場合は閉経後とみなす。 5) 試験期間を通じて避妊する意思のない男性。 6) 精神病または精神症状を合併しており試験への参加が困難と判断される。 7) ステロイド剤を除く免疫抑制剤の継続的な全身投与(内服または静脈内)を受けている。 8) コントロール不良の糖尿病、消化性潰瘍を合併。 9) 不安定狭心症を合併、または6か月以内の心筋梗塞の既往を有する。 10) コントロール不能な高血圧を有する。 11) 高血圧クリーゼまたは高血圧性脳症の合併、または既往を有する。 12) New York Heart Association (NYHA)クラスII以上のうっ血性心不全を有する。 13) 症状を有する脳血管障害の合併、または登録前6ヶ月以内の既往を有する。 14) 処置を要する血管障害(静脈/動脈血栓・塞栓症、大動脈瘤等)の合併、または登録前6か月以内の既往を有する。 15) Grade 2以上の喀血の合併、または登録前1ヶ月以内の既往を有する。 16) 先天性出血素因、血小板・凝固因子不足による凝固異常を有する。または登録前28日以内にCTCAE v4.0でGrade 3以上の出血の既往を有する。 17) 消化管穿孔、瘻孔、腹部膿瘍の合併、または登録前6ヶ月以内の既往を有する。 18) 間質性肺炎、肺線維症、高度の肺気腫のいずれか、もしくは複数を合併。 19) 登録時に治癒が認められていない高度の創傷または外傷性の骨折を有する。 20) CHO由来の薬剤または他の遺伝子組み換えヒト化抗体に対して過敏症の既往を有する。 21) HBs抗原、HIV抗体陽性である。 22) その他、治療担当医により本試験への参加が不適切であると判断された場合。 |
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問い合わせ先 | |
実施責任組織 | 杏林大学医学部脳神経外科 |
問い合わせ先組織名 | 杏林大学医学部 |
部署名・担当者名 | 脳神経外科 小林 |
電話・Email | 0422-47-5511 kekobayashi@kki.biglobe.ne.jp |
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評価&介入 | |
試験の種類 | 該当無し |
介入の目的 | 治療・ケア |
介入の詳細 | ベバシズマブ+ニムスチン(ACNU) ・Bevacizumab: 10 mg/kg div, day 1, 15, 29 ・ACNU: 60 mg/m2 iv, day 1 in 42-day cycle, for 6 cycles. From 7th cycle, continue bevacizumab 10 mg/kg alone every 2 weeks. |
主要な評価項目・方法 | 6か月無増悪生存割合(PFS-6m) |
副次的な評価項目・方法 | 治療開始後の全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、完全奏効割合(CR)、奏効割合(overall response rate; ORR)、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合 |